エクスプレス・パラオ語 文法篇 第13課 方向の動詞

方向の動詞 (Directional Verbs)

パラオ語には、移動の方向を示す3つの重要な自動詞(方向動詞)があります。これらは単独で「行く・来る」を表すだけでなく、未来や状態の変化を表す助動詞のようにも機能します。

1. 3つの方向動詞の意味と使い分け

話者(自分)と聞き手(相手)の位置関係によって、3つの動詞を使い分けます。

動詞意味基本的なニュアンス
me来る話者が「今いる場所」または「将来いる予定の場所」へ向かう動き。
eko行く「聞き手(相手)」がいる場所、またはその家などへ向かう動き。
mo行く話者からも聞き手からも「離れていく」動き。

視点による違いの例

  • Ak eko ȩr a blim. (あなたの家に行きます) ※相手のテリトリーへ向かう。
  • Ak mo ȩr a stoa. (店に行きます) ※自分からも相手からも離れた場所へ向かう。
  • Ng sȩbȩchem ȩl me ȩr a blik? (私の家に来られますか?) ※話者のいる場所へ呼ぶ。

2. 方向動詞の活用(現在と過去)

過去形にする際、memo は接中辞 -l- をとり、eko は接頭辞 il- をとります。

現在形過去形意味
memle来た
ekoilȩko(相手の所へ)行った
momlo行った
  • A Droteo a mle ȩr a Belau. (ドロテオはパラオに来ました ※話者がパラオにいる)
  • A Droteo a mlo ȩr a Belau. (ドロテオはパラオに行きました ※話者は別の場所にいる)

3. 方向動詞 + 動作動詞

方向動詞の後に別の動作動詞を続けて、「〜しに行く」「〜しに来る」という一連の動作を表せます。過去形にする場合、方向動詞のみを過去形にします。

  • Ak mo mȩngȩdub. (泳ぎに行きます)
  • A Toki a mle mȩngȩtmokl ȩr a blik. (トキは私の家を掃除しに来ました)
  • A rȩsȩchal a mlo mȩlasȩch a mlai. (男たちはカヌーを作りに行きました)

4. 未来の表現

方向動詞の現在形は、未来の予定や意図を表すためによく使われます。

  • A sȩchȩlik a me ȩr a klukuk. (友人は明日来ます)
  • Ak mo omes ȩr a John ȩr a kȩbȩsȩngei. (今夜ジョンに会いに行きます)
  • Kȩ mo mȩsuub ȩr a Merikel? (アメリカに留学するのですか?)

5. 状態の変化 (Becoming)

mo + 状態動詞(または名詞句)の形で、「〜になる」という状態の変化を表します。

  • A eangȩd a mo mȩkngit. (天気が悪くなる)
  • Ak mo smechȩr. (病気になる)
  • A Masaharu a soal ȩl mo toktang. (マサハルは医者になりたい)

現在進行中の変化 (omȩrael の使用)

「〜になりつつある」というプロセスを強調する場合、omȩrael(手続き・行程)の所有形を使います。

  • Ak omȩrolek ȩl mo ungil. (私はよくなってきています)
  • A tangk a omȩrolel ȩl mo mui. (タンクがいっぱいになりつつあります)

6. 特別な慣用表現

① mo mȩrek (終える)

完了を表す他動詞的な役割をします。

  • Ak mlo mȩrek ȩr a urerek. (仕事を終えました)

② mo / me rȩme (帰宅する)

「家(故郷)に帰る・来る」を表す特別な組み合わせです。命令形もよく使われます。

  • Ak mo rȩme. ((自分の)家に帰ります)
  • Bo mrei! (家に帰りなさい!)
  • Be mrei! (家に帰りなさい! ※「こちらに」帰ってきなさいの意)

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