人類学関係リンク集

言わずと知れた日本の人類学の総本山ともいえる、民族学博物館のリポジトリです。『国立民族学博物館研究報告』が全部読めるなど、大変充実しています。

「現地の人々とのフィールドでのやりとりから、グローバル化の流れの中で生じる人やモノの出会いまで、現代世界にはさまざまなコンタクトが認められます。すなわち、フィールドでの経験、植民地経験の記憶、移民、難民、国際結婚、翻訳、変貌する食文化など、私たちの周りにはさまざまなコンタクト・ゾーンが産まれています。私たちは、現代社会を理解するうえで重要なキーワードがコンタクト・ゾーンであるとみなし、そこに果敢に取り組む文化人類学や関連諸分野の独創的な論考を求めています。」と、果敢な挑戦をしていた雑誌ですが、廃刊となってしまったのは残念です。廃刊するという決断も大きなものだったと思うので、尊重したいとは思いますが、しかし、残念です。コンタクト・ゾーンの文化人類学誌へ : 『帝国のまなざし』を読むが非常に面白く、興味を持って読めました。

一橋大学社会人類学研究室が発行する仁理学の専門雑誌のページです。ここ7年ほど更新がないのが気がかりですが、面白い論攷が載るなど、読み応えがあります。

『イメージの人類学』(2018)という、著書『イメージの人類学』の詳細な紹介ページもあるなど、大変充実しています。本務が忙しいためか、更新が少ないのがとても残念ですが、ここまで網羅的に残してくれているのはとてもありがたいです。「やないただし」で検索するとファーストリテイリングの創業者ばかり出てくるので困ります。

上述の箭内匡さんが『イメージの人類学』の出版に合わせて対談した記録をはじめとして、文学や人類学の対談が載っています。興味深く、ありがたいページです。

『実践的な観点からの人類学』というカントの講義の本です。アマゾンでも売られていますが、もちろん著作権が切れているので、オンラインで読むことができます。記述がかなり古いこともあり、現代の(少なくとも日本での文化人類学の文脈では)顧みられることのない書物です。

なぜ上のようなカントの本を紹介したかというと、ミシェル・フーコーがカントの『実践的な観点からの人類学』を翻訳し、さらに解説までつけているからです。こちらもミシェル・フーコーの授業から生まれた本だそうです。Introduction to Kant’s Anthropology(Wikipediaの英語版)によれば、カントは『純粋理性批判』において超越論的主体(観察者である人類)は知識の出発点であるため、観察対象であるものごとが生起する時系列の中に存在できないこととしています。そうするとカントが『実践的な観点からの人類学』で述べているように、人間を理解しようとした場合、人間は観察対象が生起する時系列の中に存在できないため、矛盾が生じます。ここ人間が人間を理解する、という入れ子構造の限界が見て取れます。フーコーはこうした有限性を、無限をもって乗り越えるしかないとし、有限性は神を殺したニーチェの「超人」という概念において無力化されるとしています。後にフーコーが出版する『言葉と物: 人文科学の考古学』において展開されたような人間の終焉についての議論が、この論文にも表れています。