追悼 打越正行

打越正行さんとは面識がありません。最大の出世作といってもいい『ヤンキーと地元』を通じて存じ上げ、Xでフォローしたところ、私のアカウントもフォローしていただけました。そんな打越正行さんは、2024年12月9日午後4時5分に急性骨髄性白血病のため、亡くなりました。45歳でした。

『ヤンキーと地元』は沖縄の不良少年少女たちが、どのように暴力と上下関係が支配する地元で生き抜いていくかを描き出した名著です。沖縄書店大賞沖縄部門大賞(第六回)を受賞し、さらに文庫化もされるほど売れたことからも、その内容の面白さがうかがえます。そんな本も、実はクラウドファンディングで出版資金を集めたというのですから、日本の出版事情は大変です。

沖縄のヤンキーのところに10年以上通い、下っ端として認められ、工事現場で働き、BBQの場所取りを命じられてもうっかり車の中で昼寝をして場所取りをし損ねてしまう…といったようなポカをしつつも関係性を築き上げ…と、質的調査かくあるべしというような仕上がりになっています。

10年以上の体験のエッセンスが『ヤンキーと地元』で、本に出せないいろいろな話や経験があったと思います。それを聞けずして亡くなられたのは残念です。Xを拝見すると教育者としても慕われている様子がうかがえ、亡くなってからさらにそのお人柄に接してみたかったと思いました。ご冥福をお祈りいたします。